去年はたくさん雪が降った。

車で動くと、歩きの何倍も雪が大変な気がする。

でこぼこの道を避けていたら迷って、暗くなってしまったのに、もっとでこぼこの道を通るはめになってしまったり。

 

急ブレーキをかけると屋根からフロントガラスに、大量の雪が落ちてきて、視界がなくなったり。

 

朝早く起きて、屋根の雪を下ろさなければ車に乗れなかったり。

 

今年は雪が降らなければいいと思う。

 

 

しかし、車がなかったらなかったで、雪の日は歩く気がしなくなってしまう。食料品が尽きたのに、歩いて15分かかるスーパーにいく気力がなかった学生時代。

 

そんな時、今でも忘れられない料理(?)を作ったことがある。

ホットケーキを作ろうとしたのだが、牛乳と卵とバターがなかった。というか、小麦粉と砂糖と塩ぐらいしか家にはなかったので、ホットケーキみたいなものしかつくれないと思った。雪で買い物に行くのが嫌になってから早何日かが経とうとしていた。

 

小麦粉に水と砂糖を入れて、混ぜてから焼いてみた。

 

凍えそうな部屋の中で、小麦粉と水と砂糖の味を噛みしめた私は、やっとコートを着て夜のスーパーへと駆けだす気力が湧いてきた。

 

「まずい、ってこういうことか」。

 

白い雪が夜道に薄明るく光っている、幻想的な風景の中を歩きながら、今まで食べてきて「まずいな」と思ったものはそんなにまずくなかったんだなと、よく分かり、それ以後、牛乳と卵なしのホットケーキは焼かないことにした。