雪かき

家のとなりは、ある会社さんの駐車場で、向かいは神社の裏の厨房である。

 

家の前の狭い路地は、日当たりが悪く雪が融けない。

 

でも隣の会社さんも向かいの厨房さんも、雪かきをこれといってしていない。正面玄関などは奇麗にしているけれど、ここは裏路地であるので、相方特にする必要がないと思っているのだと思う。

 

私も雪が降っても、これは気楽だと思い、気づいたらする程度でせかせかと雪かきをしていなかった。

 

でも、ある日車がはまって、動かない。自分のだけならまだしも、通る車通る車ぎゅるぎゅるぎゅると雪にはまった音がしている。私の家の雪かきの範囲は狭い方で、大部分は隣の駐車場と向かいの厨房さんがしなきゃいけないところだと思っているので、それでも今いちやる気がしない。とりあえず隣の駐車場の人の車がはまっているのを見て、シャベルを貸してあげて満足した。

 

雪は降り、少し融けてはまた降り、降り積り、の繰り返しである。せかせかと雪かきをしていないことは一目瞭然であるがここはなんと言っても裏路地だし、別にいいだろう。けれど、先日うっかりこの道を曲がった、すぐ隣の同じ町内の路地を見てしまった。どうしてだか、そこだけ一直線に春が来たように雪がない。なのに、90度曲がって、裏はいいやと思っている仕事人と彼らと同様な気持ちになっている私の家のある道を見ると、どうしてだか北極に来たみたいである。

 

これは、気楽だと思っていたけれど内実はそうでもないのかもしれない。

そう思って、シャベルを片手に外に出ると、なんだか雨が降って雪が融けてきた。

 

こうして雪が融けてみると、せかせか雪かきをした道もそうでない道も、同じように春のようである。これで元通りであるので、ひとまずよかった。