私は植物を育てるのが苦手である。

一人暮らしの部屋にずっとあったサボテン(唯一、私のアパートで生き残った)を、実家に持って帰って半年ほど置いとくと、爆発的にサボテンが増え広がっていた。私のアパートでは、ただ緑色を保つのがやっとだったようだけど、ここでは思う存分自分の生命力を生かせたのだろう。

 

しかし、花がないのもやっぱり寂しいというか、花とか育ててみたい。とまた、思ってしまった去年の秋頃に、いろいろ植物を置こうと思い、とりあえず植木鉢を三つ買った。

 

しかし秋が過ぎ冬がくると、三つとも、もう花もないし、緑の葉っぱもない状態になってしまった。

しょうがないと思いながらも、水をあげ続けていたら、最近玄関のパンジーが咲きだした。おお。なんて偉いんだ。あんなに雪にも埋もれさせてしまったのに、こんなにたくさん花を咲かせるなんて。

 

それに比べて、他の二つの植木鉢はもはや、なにがそこに植わっているのか、よくわからない。秋のものだと思っていたから、春になっても芽吹くものでもないんだろうか。もしかして、置き場所が悪いのかもしれない。パンジーの植木鉢は玄関先の外に置いておいて、光もよく当たるけど、この二つは家の窓際に置いておいたから、それがいけなかったのかもしれない。

 

そう思って、それらを玄関先において、出かけた。帰ってくると、パンジーの隣にあるそれらの枯れ枝はいかにも貧相で、春にふさわしくないように思えた。華やかに咲き誇るパンジーの後ろで、かわいそうなくらい寂しそうである。

 

彼らがかわいそうなのもあるが、モザイク教室もやるし、こんなみすぼらしい物体を玄関先に置くのはまずい。

 

そう思い、それをどかそうとした瞬間。

 

枯れ枝が根元からぐらっと揺れた。そしてするすると、土から抜けてしまったのである。いやに茶色いなあ、と思っていたら、もはや生きてここにはいなかったのである。置いとけばいつか、花が咲くと思っていたけど、パンジーのような図太さはこの花には備わっていなかった。私はこれがどんな花だったのか忘れてしまった。なんだかかわいそう。一体、どうすればよかったんだっけ。また学ばずに、私の植物育ての終盤がきてしまった。

 

でも、今回のことで、サボテンのほかに、パンジーも育てられそうだと少しバリエーションが広がった。最近、いろいろな家の庭先にパンジーの植木鉢を見るたびに、

「きっと、私みたいな人が育てているに違いない。」

と迷惑な親近感を持ってしまうようになった。